切らない変形性膝関節症治療 PFC-FD療法

膝の痛みにはいろいろな疾患がありますが、最も多いのは加齢性変化の変形性膝関節症です。

軟骨の摩耗消失、関節裂隙の狭小化、軟骨下骨の硬化、骨棘形成、内反変形など関節構成体の退行性変化と増殖性変化を示します。

関節痛、関節の腫脹、関節可動域制限が主な症状です。

軽度の変形ならば保存的治療、保存的治療で改善しない場合は手術を行います。

保存的療法には消炎鎮痛剤や湿布、装具装着、体重減量、杖使用、大腿四頭筋訓練、足底板装着があります。またヒアルロン酸の関節内注射、痛みが強い場合はステロイドの関節内注射も行います。

保存的治療で効果がない場合は関節鏡視下で洗浄や滑膜切除、それでも痛みが変わらないようならば脛骨高位骨切り術や人工膝関節置換術を行います。

 

変形性膝関節症の重症度分類はKL分類を用います。

KL分類によってPFC-FD を行いOMERACT-OARSI有効率を検討すると、

KL 1では76.9%、KL 2では64.4%、KL 3では65.8%の効果がありますが、KL 4では50.5%しか期待できません。

しかしながらKL 4でも50%の方の症状が改善するのはすごいと感じます。

 

8月に初診となった70代の男性です。他医にてヒアルロン酸の関節注射を続けていましたが、一向に改善傾向がないと当院に来られました。

KL 2の状態、MRIでは内側の軟骨が少なくなっており、内側半月板の損傷も引き起こしていました。

この状態だと急激に悪化する可能性がありPFC-FDの説明をしたところ、ぜひ試してみたいと。

フリーズドライしたPFC-FDを溶解し6ccの血小板由来成分濃縮物を関節腔内に注入しました。エコーで関節包が膨らみ無事、全量注射することができました。

 

一連のこの治療は医療保険が使えなく、自由診療で15万円もします。

高額ですが、保存的療法やヒアルロン酸で改善しない症例、手術に移行する前に試してみてはいかがでしょう、、、