指尖部損傷の手術
指尖部損傷の原因には、鋭利切断(ナイフ類で切る)と挫滅切断(重い物に潰される、挟まる)があります。
損傷原因によっても治療は変わりますが、5 本の中のどの指なのか?
軟部組織だけ損傷した場合、骨まで損傷している?、、、いろいろ考えます。
一次閉鎖(単純に縫縮)できるぐらい小さな創は問題ありません。
しかし皮膚がなくなった所は、組織を覆う必要があります。
今回、電気鉋(かんな)で右第 3指掌側を削いだ大工さん。
削いだ皮膚は行方不明、末節骨の損傷はありませんでした。
前腕部から移植する皮膚を採取し、その部分は単純縫合しました。
採取した皮膚の脂肪組織を切除し、皮膚欠損の指先の創に形を合わせ縫合。
縫合糸の一端を長く残し、後でその糸を使用します。
移植皮弁の下に空気や血液が入らないように押さえをする物をくくりつけるのが目的です。
この方法を tie-over 法といいます。
10 日で押さえを取り、2 週間で抜糸します。
この方法は指先以外は動かせますので関節の拘縮が予防できますし、生着もいいです。
もし骨の損傷がある時は、厚い組織を移植したいため、血流がある
●隣接・近隣指の背側皮弁を直接利用する指交差皮弁 cross-finger flap
●手掌部皮弁 palmar flap
をよく使用します。
V-Y 法は痛みや腫れが伴うのであんまりやりません。
削ぎ取られた組織が、ある程度の大きさの場合は compsite graft として再縫合できます。
もしこのような事があったら、とにかく取れた組織を探してください。
指と取れた組織を流水で洗浄し、指はきれいなタオルで押さえてください。
取れた組織はジップロックに入れ、そのジップロックを氷の入ったジップロックに入れて病院に来て下さい。
お待ちしております(^^)/