現場の安全確認
悲しい事故が発生しましたね。亡くなられた方々の冥福をお祈り申し上げます。子供が自殺を図り、救助に入った父親も一緒に死亡。自殺を考えることも、救助に入って結局共倒れになることも、残念です。
AHAに限らず、救命の講習では現場の安全確認を指導します。BLS-HCPコースではそれほど強調されていませんが、AHAのハートセイバー各種コース、MFAの各種コースでは繰り返し練習します。
受講生の方から、“現場は安全です!って、何ですか?”と質問を頂いたことがあります。車の通る道路での救助、水難事故の救助、普通の室内でも床が濡れていたら?実験室などでは、有毒物質では?あるいは犯罪がらみで容疑者が近くに潜んでいる?考え出したらきりがありません。
MFAのコースでは救助の場面のイラストを見て、ディスカッションしたりします。水難事故では、“僕は泳げないので、直接手出しをせずに助けを呼びます!”一つの正解ですね。
今回自殺を図った方は、“硫化水素発生中”という張り紙をしてあったそうです。家族を巻き込まないための配慮だったのでしょう。結果的に父親を犠牲にすることになってしまいましたね。硫化水素と書いてあるんだから、息を止めて救助に入れば?自分の愛する家族がそんな状況では、正確な状況判断なんて無理でしょう。残念です。
メディアが安易に硫化水素自殺を報道するから、こういった真似が増えるのではないでしょうか?また、自殺という安易な逃げ方が増えるのも、大人たちがしっかりしていないからかもしれません。このような悲しい事故がなくなることを祈るばかりです。
<硫化水素>長男助けようと父親も死亡 埼玉・熊谷
9月4日12時8分配信 毎日新聞
4日午前5時20分ごろ、埼玉県熊谷市の男性会社員(46)宅で、中学1年の長男(13)が浴室で倒れているのを男性が発見した。助けようとした男性も倒れ、妻(38)が119番。県警熊谷署と市消防本部によると、2人とも死亡が確認された。洗面所の出入り口の引き戸に「硫化水素発生中」などと書かれた紙が張られ、「生きていくことに疲れた」と書かれた遺書も見つかった。同署は長男が硫化水素自殺を図ったとみて調べている。
妻と長女(16)も気分が悪くなり、病院に運ばれた。同署などによると、浴室には液体が入ったバケツがあり、近くにトイレ用洗剤の容器があった。
長男が通う中学校の校長は「運動部に所属し、欠席もなくいじめなどの相談もなかった」と話した。