潜水士3人死亡・大分

  亡くなられた方々の冥福をお祈り申し上げます。事故については後々明らかになっていくと思いますが、こういう事故でちょっと困るのが風評被害です。例えば今回なら、「潜水、スクーバダイビングは危険!!」という誤認。
 
 スクーバダイビングのことを「危険なスポーツ」と思われている方がみえますが、それは誤解であり、「誰でも楽しめるレジャー」です。体力には個人差がありますが、70才という高齢でダイビングを始めた方もいますし、障害を持っている方でダイビングを楽しんでいる方もいます。
 
 今回の事故では、空気タンクの残量がゼロだったそうです。ここから「水中で空気が無くなると死んでしまう!!」という誤解が生まれるのですが、そうではありません。
 
1,
 レジャーダイビングの際、水深は18mまでと決まっているので、それを守っていれば、空気が無くなっても緊急浮上して問題ない。(ディープの取得者は30m)
 
2,
 今回の事故ではタンクの空気残量がゼロであるけれども、空気が無くなって溺れたとは限らない。
 
 というのがあります。
 
 まず、1について。
 スクーバダイビングでは、残圧計を常にチェックします。車で言う、燃料計ですね。基本的に、行きに1/3を使い、帰りに1/3を使います。残りの1/3は、予備です。ですから潜水中に空気が無くなるのは、原則を無視している場合が多いのです。
 そして水中で空気が無くなる時、いきなり止まる訳ではありません。何度か吸いにくくなるという予兆があります。実はダイビングのライセンスを取得する時、水深3〜5mほどでこれを体験します。そして緊急浮上する訓練をします。
 水深20mほどで空気が無くなっても、腰の重り(ウェイト)を捨てて浮力を得れば、安全に水面までたどり着けます。空気が無くなったら浮上する。それだけなのです。正規の訓練を受けて、ちゃんと復習をしていれば、何の問題もありません。
 
 そして2について。
 口にくわえて空気を吸う「レギュレーター」が上を向くと、勝手に空気が出続けます。ですから事故当時は空気が残っていて死亡原因が他にあっても、レギュレーターが口から外れて波に揺られて転がったりすると、空気が抜けてしまう事もあります。タンクの残りが無かったからといって、それが事故原因とは言い切れない部分があります。
 
 水中で作業を行う潜水士とレジャーダイビングとでは、条件が大きく異なります。レジャーダイビングは安全管理のされた、誰でも楽しめるレジャーです。ハードなスポーツではありません。子供達が12才になったら、体験させようと思っています。
 

 
「安全管理問題なかった」=工事受注会社など会見―潜水士3人死亡・大分
 

時事通信 3月19日(月)22時5分配信

 大分県津久見市の保戸島沖でブイ撤去作業中の潜水士3人が死亡した事故で、工事を受注した同市の土木工事会社「大下建設工業」と下請け会社が19日、大分市内で記者会見し、潜水前の安全管理に問題はなく、海中で何らかのトラブルが起きた可能性があるとの見解を明らかにした。
 会見での大下建設工業などの説明によると、17日朝、近くの港で作業員や死亡した塩月充さん(45)ら3人がミーティングし、潜水用ボンベの圧縮空気が一定気圧になったら作業途中でも浮上を始めるよう指示した。
 ボンベの気圧を基準とするだけでなく、一定時間が経過したところで船上から浮上するよう指示することにもなっていたが、事故は予定時間より前に起きたという。
 またミーティングでは作業手順や潜水士の体調なども確認していたといい、大下建設工業の現場関係者は「安全管理はしっかりやったつもりだ」と話した。
 3人は、潜水用ボンベは各自で用意し使用していた。大分海上保安部によると、救出した際、3人のボンベ残量はゼロになっていた。

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潜水士3人死亡・大分” に対して4件のコメントがあります。

  1. ブルーシャトー より:

    私は、ダイビング歴22年、タンク800本クラスですが、「スキューバが安全」とは到底思えません。
    もちろん、安全確保のための空気圧確認を始め規定通りのことを実行するのは当たり前ですが、それでも海面下の状態によってはパニクった事も何度かある。

    今回の事故は三人が同時に死亡、回収された時点でタンク空というダイビングの常識からは有り得ない事態でしたが、ディープダイブ特有の危険度をよく見る必要あります。

    57mの深度に対して14L一本で行くと、通常ではボトムまで数分、ボトムタイム10分と思われますが、報道の通りとすると同日午前9時半エントリ、9時47分作業開始では、余りにも降下に時間掛かり過ぎで、ボトムに達した時点で時間切れであったのではないか。もちろんその時点で経験積んだダイバーならまだ安全に浮上するだけのタンク残量あったと思われますが、一人でも初心者いたら、そこの確保がどうだったか。
    誰とは申しませんが、そういう人が先にエンプティになって、後の人たちが救助しようとして限度を超えてしまった、そう言うことではないか。

    ファンダイブに戻ると、教科書通りに運営できれば安全かもしれないが、実体は全く別でしょう。ダイブセンターも経営苦しいですから。

  2. dr_mimimi より:

     ブルーシャトーさん、率直なご意見、ありがとうございます。

  3. 普及員Y より:

    sakuraさんから「三重BLS]を紹介して頂き、拝見したところ
    同じ先生の書かれたブログだと思いましてお邪魔いたしました。
     三重県での活動支援のお話、有り難く思います。
    同じ想いで、一緒に活動できれば幸いに思います!
     現在無所属ですので、動きにくい状態ですが
    お役に立てる事があれば、協力は惜しみません。
     ぜひ、ご連絡をお待ちしています。

    ブログの内容に関係ないコメントで
    申し訳ありません。 m(__)m

  4. dr_mimimi より:

    普及員Yさん、ありがとうございます。
     sakuraさんから、お話は伺っております。現在は福井と三重を行き来しています。
     http://www.mie-bls.com/
    のウェブページも作って、エンジンをかけ始めたところです。また色々と、力をお貸し頂ければ幸いです。頑張りましょう!

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