2つのワクチン
31日、厚生労働省の薬事・食品衛生審議会の部会で2つのワクチンが承認されました。
ひとつは子宮頚がんの原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)への感染を防ぐワクチン「サーバリックス」
もうひとつは小さい子どもに髄膜炎などの重い感染症を起こす肺炎球菌に対するワクチン「プレべナー」
いずれも海外では90か国以上で承認されていますが、国内では初めて。
日本では年間約7,000人が子宮頚がんにかかり、約2,500人が亡くなっています。
特に20代〜30代の若い女性で増えてきているそうです。
原因となるHPVは性的接触で感染することが分かっており、今回のワクチンを感染前に接種すれば、
子宮頚がんの原因の7割を占める2種類のHPVの感染が予防できるとのこと。
今後、子宮頚がんがワクチンによって効果的に予防されることが期待されます。
小児科医としてより気になっているのは、肺炎球菌ワクチン。
現在も、肺炎球菌に対するワクチンは使われていますが、主にお年寄りの肺炎を予防するためのもの。
これは小さい子どもに接種しても効果が乏しいことが分かっています。
今回のワクチンは小さな子どもに効果があるように作られており、
子どもの重い肺炎球菌感染症、特に肺炎球菌による髄膜炎に効果が期待できます。
感染症にはとてもたくさんの種類があります。
その中で予防のためのワクチンがあるのはごく少数。
ワクチンがないために、有効な予防ができず、
たくさんの人が命を落としている感染症も少なくありません。
『ワクチンで防げる病気』
かかってしまうと、重い後遺症が残ったり、命を落としたりすることがあります。
「ワクチンをするより自然に病気にかかった方がしっかり免疫がついてよいのでは?」
外来でよく聞かれることのひとつですが、
「ワクチンを接種していれば・・・」という後悔はして欲しくないと思っています。
上手にワクチンを接種して、予防できるものは予防したいですね。