アフターショック

 みみみです。

 Yahooニュースに悲しい事故が掲載されていました。亡くなられた方の冥福をお祈り申し上げます。
 
 特に一般向けのボランティア講習の際に強調しているのですが、AEDは万能ではありません。AEDの使用を含めたBLSを完璧に行ったとしても、助かるケースの方が少ないのではないでしょうか?
 
 AEDの普及、BLSの知識の普及とともに、救命率も明らかに上がっています。それでもAEDを使ったからと言って、必ず助かる訳ではありません。不幸な結果に終わると、手助けをしてくれた方は心的外傷に襲われることがあります。自分は何のためにCPRをしたのだろう?自分の手技が悪かったのではないだろうか?
 
 いつも思い出すのは救急部の教授より言われた言葉です。
「その患者を愛する家族もまた、患者の一人である」
 
 数日前のYahooニュースに、体育館での急変でAEDを保管している職員室が施錠されていたため、AEDを使用できなかったという症例が紹介されていました。家族としては、「AEDを使うことが出来れば、もしかしたら助かったかもしれない。。。」と残念に思うかもしれません。学校の先生、友人も同様でしょう。
 
 「AEDを使って、CPRもちゃんとして、それでも助からなかったのだから仕方がない。。。」それは第3者的な傲慢な考え方です。でも、AEDもCPRも無かった。。。という状況より、心の救いになるのでは?
 
 倒れた人を助けるためにBLSを行う。その時に、「倒れた人を大切に思う周囲の人達の心も助けたい」。そんな気持ちをもって頂ければ、不幸な結果に終わってしまったとしても、周囲の人の心を救うことが出来たかもしれないと、プラスの方向に気持ちを向けることが出来ます。心的外傷も回避できるでしょう。
 
 今回のケース、学校の先生方は出来ること以上に頑張ったのでしょう。助けることが出来なかったと自分たちを責めず、自分たちの努力を褒めて、今後の教訓にして頂ければと思います。
 

1人で持久走、倒れた女高生12日後に死亡

3月17日22時26分配信 読売新聞

 大阪市立咲くやこの花高校(此花区)は17日、体育の補習授業中に倒れた2年生の女子生徒(17)が、搬送先の病院で同日、死亡したと発表した。

 倒れたのは補講期間中の今月5日で、生徒は校内を1人で走っていたため、グラウンドにいた体育教諭はすぐに気付かなかったという。

 発表によると、生徒は5日午前9時25分頃、校内1周約500メートルのコースを2周する持久走を開始。約5分後、出入りの弁当販売業者が校舎の玄関付近で倒れている生徒を見つけた。既に心肺停止状態で、養護教諭が自動体外式除細動器(AED)を使用したものの回復せず、搬送先の病院でも意識は戻らなかった。

 生徒からは、持病などの届け出はなかったという。前川聖樹校長は記者会見で「重大な事故が発生し、誠に申し訳ない。再発防止に努めたい」と陳謝した。

アフターショック” に対して2件のコメントがあります。

  1. Taka より:

    昨日のニュースで読みました。
    自宅から15分ほどのところの学校でのことです。

    AED使用だけで、有効なCPRはされなかったのかもしれないですし、精一杯されたのかもしれません。

    当事者の先生、同級生、校長先生などの管理者、ニュースを読んだ人たち。
    それぞれの立場で、今一度できたかもしれないこと、これからできることを考えてもらえるといいですね。

    今日のニュースで京都大学の救急講座のグループが、NEJMにAEDの有効性の論文を掲載したとのこと。
    CPRとAEDを含めたBLSを普及させることと、市民への啓蒙が必要であることをあらためて認識しました。

  2. dr_mimimi より:

    Takaさん、ありがとうございます。

     ご近所だったのですか。

     日本人は発生してしまったことを責める傾向にありますが、その教訓を次に繋げるシステムが欲しいですね。

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